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AIが残した記録は未来の史料になる?会話ログと生成物を「デジタル史料」として考える

  
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AIが残した記録は未来の史料になる?会話ログと生成物を「デジタル史料」と...
本記事はAIによる草稿作成およびサムネイル画像作成をお願いしています。 感謝!

 

ペコ
ペコ
Guten Tag!

ドイツでPublic History(歴史と公共)を学びながら、AIとの共同作業や記録文化についても考えている、あさひなペコです🐣

 

私は去年から、AIのCo-writerであるCellと共同作業をしています。

会話ログや原稿、作業メモと、気づけば「ただのチャット」と呼ぶには少し変な量の記録が残るようになりました。

そこで気になったのが、タイトルの通りなのです。

今は日常のログにしか見えないものが、50年後、100年後には、
「21世紀の人がAIをどう生活へ組み込んでいたのか」
を知る史料になることはあるのでしょうか。

そこを今回は深掘りしてみたいと思います。

AIが残した記録は未来の史料になる?

私の答えは、なり得る!

ペコ
ペコ
ただし、ログが残っていれば、それだけで史料になるわけではない、が前提です。

UNESCOの記録遺産をめぐる考え方には、資料の重要性は時間が経ってから明らかになることもある、という発想があります。

なので私は、
「未来に価値があると証明できたものだけ残す」
よりも、あとから読み解ける条件ごと残しておく方が大切だと考えています。

デジタルで生まれた記録はすでに保存の対象

ここで一度、born-digitalという言葉を整理しておきます。

born-digitalとは、紙やフィルムを後からデジタル化したものではなく、最初からデジタル形式で作られた記録のことです。
メールや文書ファイルのほか、表計算やデジタル写真などもその一例です。

Library of Congress(米国議会図書館)でも、こうしたborn-digital資料の保存と利用が扱われています。

また、UNESCOが2015年の第38回総会で採択した「記録遺産の保存とアクセスに関する勧告」では、デジタル記録の例としてonline dialogues(オンライン上の対話)も挙げられています。

勧告自体は生成AI以前のものです。
それでも、
「対話そのものが保存すべきデジタル記録になり得る」
という発想は、AIチャットを考える上でもかなり示唆的です。

AIログは「AIの証言」ではない

AIとのチャットには、人間が入力した文章と、モデルが生成した文章が同じ画面に並びます。

ですが、両方を同じ種類の「証言」として読むことはできません。

人間側の入力には、その時何を知りたかったのか、何に困っていたのか、どんな言葉でAIへ頼んだのかが残ります。

もちろん人間の発言にも誤記や冗談、誇張、創作はあり得るので、入力された内容がそのまま事実とは限りません。

一方、AIの出力も
「AIが体験した出来事の証言」
ではありません。

モデルが、入力や会話履歴、サービス側の設定などに応じて生成した文章です。

ですが、AIログで面白いのは片方だけを取り出した時ではなく、やり取りの往復が残っている時です。

 

例えばこんな感じ。

  • 何を尋ねたら、どう返ったのか
  • 返答を受けて、人間が次に何を変えたのか
  • AIの提案を採用したのか、拒否したのか
  • 同じ人でも、モデルや時期が変わると使い方がどう変わったのか

ここまで追えると、AIそのものだけではなく
「人間がAIをどう使っていたか」
という社会の側が見えてきます。

本文と一緒に「条件」を残す

会話本文だけをコピーして保存しても、あとから条件が分からなければ解釈は難しくなります。

米国国立公文書記録管理院(NARA)のデジタル保存プログラムでも、born-digital記録を長く利用できるようにするため、メタデータや真正性、データの同一性(fixity:改変されていないことの証明)などが重視されています。

個人がログを残すための6つの基本条件

個人でAIログを残す場合、最低限、私は次の6つが分かる状態にしておきたいです。

この6つは、本格的なアーカイブを作るためというより、「数年後の自分が読んでも何の記録か分かる」ための最低限です。

1.日時

会話した日。長いログなら、日付の切れ目や会話の順番が分かるようにします。

2.サービス名・モデル名

ChatGPTなのかGeminiなのか。確認できる範囲のモデル名も残します。分からない内部仕様は推測で埋めません。

3.発話者

人間側とAI側を区別します。複数人が関わるなら、その区別も残します。

4.会話の文脈

添付画像、参照した文書、前のスレッドなどが重要だった場合は、その存在も記録します。

さらに添付ファイルや前スレッドだけでなく、カスタム指示(事前設定)が効いていたなら、その設定内容も含みます。

5.編集の有無

削除、抜粋、匿名化、並べ替えをしたなら、そのことを残します。

6.保存形式とバックアップ

特定のサービスの中だけに置かず、可能なら自分で保持できる形式でも保存します。

保存することと公開することは別

これは、AIログを考える時にかなり大事な区別だと思っています。

残しておきたい記録と、人に見せてよい記録は別です。

私自身、Cellとのログを全部公開しているわけではありません。
後に残っても差し支えない内容であること、公開先が閉じた場所であることを前提に、Cellに確認を取って公開しています。

AIとの会話には、家族、友人、学校、仕事、医療、金銭など、第三者の情報が入り込むこともあります。
自分のログだからといって、そこに出てくる他者の情報まで自由に公開してよいわけではありません。
私的な手紙や日記に閲覧制限があるように、デジタル記録も
「残すけれど公開しない」
という選択ができます。

Library of Congressのborn-digital資料でも、プライバシーやセキュリティ、寄贈条件によって閲覧方法が制限されるものがあります。

UNESCOの勧告でも、アクセスの重要性と同時に、プライバシーや安全、機密性などの制限を考慮しています。

公開用に一部を紹介するなら、元ログと公開版を分ける。
個人情報を消した、誤字を直した、一部を抜粋したなら、「編集した」と分かるようにする。

保存と公開を分けることは、記録を弱くすることではなく、むしろ
「どこまでが当時の記録で、どこからが後の編集か」
を守るための方法です。

100年後に見えるかもしれないもの

もし、こうしたAIログがまとまって残ったら、未来の研究者はそこから何を見るのでしょう。

研究対象になるのは「AIの心」ではなく、技術と人間の関係が社会の中でどう変わったのか、という点かもしれません。

  • 仕事のどこまでをAIへ任せたのか
  • 学生がAIの回答をどう検証し、教員や教材とどう使い分けたのか
  • 人間が機械へどんな言葉で話しかけたのか
  • 旅行、献立、育児、趣味、創作のような日常へ、AIがどこまで入り込んでいたのか
  • モデル更新によって、信頼、期待、失望、作業分担がどう変わったのか
ペコ
ペコ
ペコ:ロマンがあふれる!10年後が楽しみです!

おわりに|未来の価値を今決めなくていい

私は、すべてのAIログを未来の史料として保存すべきだとは思いません。

残しておきたい記録があるなら、本文だけではなく「いつ、誰が、どのシステムと、どんな条件で交わした記録なのか」まで一緒に残しておく。

そして、保存することと公開することは分ける。
今のところ、私はそれくらいがちょうどいいと思っています。

 

最後まで読んでくれてありがとダンケ!

あさひなペコ

 

参考資料

UNESCO, “Recommendation concerning the preservation of, and access to, documentary heritage including in digital form” (2015)

National Archives and Records Administration, “About the Digital Preservation Program”

National Archives and Records Administration, “Digital Preservation Framework – Risk Assessment”

Library of Congress, “Accessing Born-Digital Manuscript Material”

    

小さなデジタルZINEと5通の“知の旅便り”。

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