考えるって、案外楽しい。ドイツ・カッセルから、歴史と公共を生活のことばで。

博物館の展示は誰が決める?「並べる」だけではない展示づくりをPublic Historyから考える

  
博物館の展示を考える人々(AI作成)
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博物館の展示は誰が決める?「並べる」だけではない展示づくりをPublic...
本記事はAIによる草稿作成およびサムネイル画像作成をお願いしています。 感謝!

 

ペコ
ペコ

Guten Tag!

ドイツでPublic History(歴史と公共)を学んでいる、あさひなペコです

 

博物館や美術館を歩いていると、ふと気になることはありませんか?

「どうして、この作品がここにあるんだろう?」

「この説明文は、誰が書いたんだろう?」

「そもそも、展示するものって誰が決めているの?」

完成した展示室だけを見ると、展示は最初からそこにあったようにも見えます。

でも実際には、何を見せるかだけでなく、どんな順番で見せるか、どんな言葉で説明するか、何をあえて見せないかまで、たくさんの選択が積み重なっているんです!

今回は、博物館の展示づくりをPublic Historyから考えてみたいと思います!

博物館の展示は誰が決めてるの?

博物館の展示は「1人の学芸員が全部決める」とは限りません。
館によって体制は違いますが、研究・収蔵・保存・教育・デザイン・運営、ときには地域やコミュニティの声まで交じえながら、1つの展示が形になるんです!

そして、

「誰が、何を、どう見せるのか」

という問いは、私が学んでいるPublic Historyのど真ん中です。

展示は「置いてある」のではなく選ばれている

たとえば、1つの歴史資料を展示ケースに置くとします。
その時点で、すでにいくつもの判断があります。

  • なぜ、この資料なのか
  • どの面を見せるのか
  • 隣には何を置くのか
  • 説明文には何を書くのか
  • どこまで「分かっていること」として言い切るのか
  • 照明や文字の大きさはどうするのか
  • そして、何を今回は展示しないのか

こう考えると、展示は単なる「物の陳列」ではありません。

ICOM(国際博物館会議)が2022年に採択した博物館定義でも、博物館の仕事には、遺産を研究・収集・保存することだけでなく、「解釈すること」と「展示すること」が含まれています。

さらに、現在の定義にはコミュニティの参加という視点も明記されています。

つまり、博物館は過去の物を倉庫から出して並べるだけの場所ではなく、残された物や記録に意味を与え、現在の社会へ伝わる形に「翻訳する」場所でもあるのです!

参考:International Council of Museums, Museum Definition

ペコ
ペコ

ICOMについては、以下の記事で紹介したゼミで初めて学びました!なつかしい!

実際に誰が博物館の展示を作るの?

ここは館の規模や組織によってかなり違います。

学芸員・キュレーターだけで完結しない!チームでつくることも

学芸員・キュレーターが研究内容や資料選定の中心になることもあれば、教育普及の担当者が「来館者にはどう伝わるか」を考え、デザイナーあるいはディレクターが空間や視線、読みやすさ、アクセシビリティを形にしていくこともあります。

実際にHKHのディレクター(当時)が直々に行ってくれたゼミで、このパターンを学びました!!

展示づくりは、学芸員・キュレーターだけで完結するとは限りません。Smithsonian Exhibitsの展示開発ガイドでも、キュレーターや専門家、展示開発担当、デザイナー、プロジェクトマネージャーなど、異なる役割を持つ人々がチームとして展示を形にしていくことが示されています。
また、必要に応じて教育担当者などが加わる場合もあります。

キュレーターだけでなく、教育担当やデザイナーなどがそれぞれ違う視点を持ち寄ることで、展示の意味が具体化されていく、というわけです。

参考:Guide-to-Exhibit-Development.pdf
参考:Designing history: the day of an exhibition design intern | National Museum of American History

展示には「やりたいこと」だけでは決められない条件もある

さらに実際の現場では、収蔵品を安全に扱えるか、展示ケースに入るのか、光に弱くないか、予算や施工上の制約はどうか、といった条件もあります。

「歴史的に面白いから展示する」だけでは完成しません。

何を伝えたいか。

誰に伝えたいか。

安全に見せられるか。

実際の空間で読めるか。

以上のような問いを、ひとつずつ調整していく必要があります。

【実例】カッセルの博物館実習で見えた「展示の前」の仕事

実際の展示!写真:スプリッター先生より

私自身、ここまでの内容を強く実感したのは、カッセルの博物館(HKH)でPraktikum(実習)をした時でした。

私が担当したのは、ギリシャ神話に出てくるヘルメスを主役にしたもの。
先生から渡された小さな陶片に描かれた男性が

「これはヘルメスなのか?」

というところから考え続けました。

ミニ展示を作るまでに大体1ヵ月

写真と実物を照合し、古いカタログを確認し、インベントリ番号を追い、過去の記録と現在の収蔵状況をつなぎ直しました。

破片を実際にスケッチ!同人誌書いてた頃が懐かしい。

そして、一度「ヘルメスかもしれない」と思うと、何度スケッチしても、だんだんヘルメスにしか見えなくなる。
だからこそ、どこまでが実際に見えている情報で、どこからがこちら側の解釈なのかを分けなければならない。

展示テキストの難しさ

さらに、調べて理解し、解釈した情報を展示テキストにすると、別の難しさが出てきます。

論文のように全部の留保を書けば、長すぎて読まれない。
かといって短くしすぎれば、「まだ分からないこと」を確定事項のように見せてしまう。

このとき私は、展示とは研究成果を短くする作業ではなく、研究と来館者のあいだをつなぐ翻訳なのだと感じました。

「誰が決める?」からPublic Historyが始まる

結局のところ、展示は専門家が決めればいいのでしょうか。

もちろん、資料を研究し、安全に保存し、正確に扱うためには専門知識が必要です。

一方で、展示は研究室の中だけで完結するものではありません。
博物館は一般の人が実際に目にし、そこから過去について考える公共の場でもあります。
だからPublic Historyでは、「正しい歴史を専門家が教える」という一方向だけではなく、

誰が語っているのか

誰に向けて語っているのか

どんな声が展示の中に入り、どんな声が入りにくいのか

来館者は、その語りをどう受け取るのか

といったところまで問い直します。

面白いのは、「展示の裏に誰かの選択がある」と気づいた瞬間です。

展示ケースに入った物は、過去そのものではありません。
過去から残った資料を、現在の私たちが研究し、選び、並べ、言葉を添えたものです。

だから展示を見ることは、過去を見ることであると同時に、「現在の私たちは過去をどう語ろうとしているのか」を見ることでもあります。

私は、この二重性が博物館とPublic Historyの面白いところだと思っています。

次に博物館へ行ったら3つだけ見てみよう!

難しい理論を知らなくても、Public Historyの見方はすぐ試せます。

もしあなたが次に博物館へ行った時は、次の3つをぜひ考えてみてください。

1.なぜ「これ」が展示されているんだろう?

同じ時代の資料は無数にあるはずなのに、あえてこの物が選ばれたのはなぜでしょう。

この展示のようにテーマ次第では説明してくれていることもありますが、多くは説明されていません。

そこを想像することからスタートです!

2.この説明文は、誰の視点で書かれているんだろう?

事実の説明なのか、解釈なのか。
キャプションでは、どんな言葉が選ばれているでしょうか。

キャプションの言葉選びは本当に大事です!(何度でもいう)

特に外国語ができる人は、文化や歴史的背景も考慮すると、面白い発見ができるかも!?

3.ここに「ないもの」は何だろう?

展示されなかったもの、語られていない人、別の見方はないでしょうか。

「ないもの」を考えるだけでも、博物館の見え方は少し変わります。

おわりに|展示は、過去と現在のあいだにある

博物館の展示を誰が決めるのか。
ここまで読めばおのずと出てきますが、答えは1人ではありません。
そして「誰が決めたか」だけで終わる問いでもありません。
研究や保存、解釈、デザイン、教育、来館者、コミュニティ。
いろいろな人と条件が交わることで、展示は形になります。

なので私は、展示を「完成した答え」として見るよりも、過去と現在のあいだにつくられた1つの語りとして見るのが好きです。

「なぜ、この展示になったんだろう?」

「なぜこれがここにあるんだろう?」

そう考えながら歩くと、博物館は物を見る場所から、歴史が社会の中でどう作られ、語られているのかを考える場所へ変わっていきます。

これからもこのブログでは、そんな「歴史と公共」の問いを、ドイツの博物館や街、大学での学びから、生活のことばで考えていきます。

 

最後まで読んでくれてありがとダンケ!

あさひなペコ

    

小さなデジタルZINEと5通の“知の旅便り”。

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